松の病害虫

松の病害虫を知ることにより、未然に防ぎまた早期に治療しましょう。

 

 

 

 

葉ふるい病

秋の初めごろから、新葉に黄色〜淡褐色で小型の初期病斑が現われます。
翌春になると、病気が急速に進み、病葉は一斉に黄褐色〜灰褐変、萎れて
枯れ、激しく落葉します。苗木から成木まで発生しますが、一般に新葉が
伸びてくると病気はそれほど目立たなくなり枯れることはあまりありません。

この病気はカビの仲間によって起こされる伝染病で、梅雨ころから秋口に
かけて病落葉上に黒色、楕円形でやや盛り上がった菌体が多数現われます。

被害が激しい場合には7〜9月に薬剤散布をしますが、施肥や手入れを行って
樹勢を強めることが必要です。


 

すす葉枯病

5〜6月ごろに針葉の先端部から赤褐変が始まり、次第に拡大して針葉の半分
程度まで進むと停止し、基部の健全な緑色部と明らかな境界ができます。患部
には多数の微細な黒粒点(菌体)が気孔列に沿って形成されます。病状が激しい
病葉は汚灰褐変、萎れて落葉します。

この病気はカビの仲間によって起こされる伝染病で、患部に形成された菌体の
胞子によって伝染します。苗木から成木まで発生しますが、特にアカマツが
かかりやすい病気です。

発病年に冬の低温・乾燥と春先の高温・多雨が重なると広域に発生し、根系の
発達不良な個体が発病しやすいともいわれています。またSO2ガスなどの大気
汚染によって発生することもあります。


 

赤斑葉枯病(せきはんはがれびょう)

秋、針葉上に周辺が黄緑色で小さな褐色の斑点がみられます。翌春、この病斑は
拡大し鮮やかな赤褐色の帯状患部に発達し、表皮が裂けて中から小さい黒粒点が
現われます。病状は夏から秋にさらに進んで罹病部は赤褐変、落葉しますが、
クロマツでは患部と健全部に境界ができてそのまま樹上に残るものもあります。
アカマツでは地上に近い針葉ほど発生が目立ちます。

この病気もカビの仲間によって起こされ、患部にできた菌体の胞子によって伝染
します。最近、アカマツ、クロマツの庭園樹などでしばしば観察され、外国産の
松類にも発生しますが、このために枯れることはまずありません


 

葉さび病

4〜5月ころに、旧針葉に黄色、小型で袋状の突起物が多数形成され、まもなく
針葉は黄褐変、落葉します。袋状物内にできた胞子(さび胞子)は飛散して中
間宿主の葉に感染、発病させ、そこに黄色、粉状物(夏胞子)、次いで黄橙色の
隆起物(冬胞子)が多数形成されます。9月中旬ころになると、この冬胞子が発芽
して松の針葉に感染します。


 

マツ材線虫病(まつのざいせんちゅうびょう)

外見上は、盛夏から秋にかけてそれまで正常であったマツの針葉が急速に褐変し
て枯死します。多数の個体が同時に発病すると、紅葉のような様相を呈しますが、
しかし本物の紅葉とは異なり翌年の芽吹きはなく、林分内のマツは数年のうちに
次々と枯損して大多数の個体が失われます。

病原体はマツノザイセンチュウ であり、日本のマツ属樹木に激害を起こしている
萎凋病です。日本における本病は典型的な侵入病害であり、アカマツ及びクロマツ
が壊滅的な打撃を受けました。

この病気を防ぐためには、媒介するマツノマダラカミキリを駆除する必要があります。
5〜6月のマツノマダラカミキリの発生直前から発生初期に、松全体に殺虫剤を散布し
マツノマダラカミキリを防除する方法が有効です。






 


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